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ジャック・オー・ランタンの由来とは?──悪魔を二度だました男と、カブがカボチャになった理由

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ハロウィンといえば、仮装かそうをして、お菓子かしをもらうお祭まつりです。

家いえの窓辺まどべや玄関げんかんには、怖こわい顔かおを彫ほったカボチャのランタンが並ならびます。ろうそくの火ひに照てらされて、にやりと笑わらっているように見みえるあのカボチャです。

けれど、あのカボチャがなぜ「ジャック・オー・ランタン」と呼よばれるのか、知しっていますか。

その名前なまえの向むこうには、アイルランドに伝つたわる、ひとりの男おとこの物語ものがたりがあります。悪魔あくまを二に度どもだましたのに、天国てんごくにも地獄じごくにも行いけなくなってしまった男おとこの物語ものがたりです。


ハロウィンは、何なにのお祭まつりだったのか

ハロウィンの始はじまりは、ずっと昔むかしのヨーロッパにあります。

昔むかしの人ひとたちは、秋あきの収穫しゅうかくが終おわって、冬ふゆを迎むかえるころにお祭まつりをしていました。この季節きせつには、死しんだ人ひとの魂たましいや、不思議ふしぎなものが人間にんげんの世界せかいにやってくると信しんじられていたのです。

そこで人々ひとびとは、おばけの仲間なかまのふりをして身みを守まもろうとしました。これが、仮装かそうの始はじまりの一ひとつとも言いわれています。仮装かそうは、ただ楽たのしむためだけのものではなかったのですね。

その後ご、ハロウィンはキリスト教きょうのお祭まつりとも結むすびつき、長ながい時間じかんをかけて、今いまの形かたちになっていきました。

では、あの怖こわい顔かおのカボチャは、どこから来きたのでしょうか。


悪魔あくまを二に度どだましたジャック

むかしむかし、アイルランドに、ジャックという男おとこがいました。お酒さけが大好だいすきで、いたずら好すき。おまけに、とてもけちんぼだったといいます。

ある日ひ、ジャックの前まえに、恐おそろしい悪魔あくまが現あらわれました。ところがジャックは、怖こわがるどころか、悪魔あくまを「一緒いっしょにお酒さけを飲のもう」と誘さそったのです。

けれど、けちんぼのジャックは、お酒さけのお金かねを払はらいたくありません。そこで悪魔あくまに「おまえは何なににでも姿すがたを変かえられるんだろう? だったら、銀貨ぎんかに化ばけてみろよ」と言いいました。

悪魔あくまが銀貨ぎんかに変身へんしんすると、ジャックはすばやく、その銀貨ぎんかを財布さいふにしまってしまいます。財布さいふの中なかには、銀ぎんの十字架じゅうじかが入はいっていました。十字架じゅうじかの力ちからで、悪魔あくまは元もとの姿すがたに戻もどれなくなってしまったのです。

ジャックは「一いち年間ねんかん、おれに手てを出ださないと約束やくそくしろ」と言いい、悪魔あくまはしかたなく約束やくそくして、ようやく自由じゆうになりました。

一いち年ねん後ご、悪魔あくまは「今度こんどこそ、おまえの魂たましいをもらいに来きた」と、ふたたびジャックの前まえに現あらわれます。ジャックは「最後さいごに、あの木この実みを食たべたい」と頼たのみ、悪魔あくまが木きに登のぼったすきに、木きの幹みきに十字架じゅうじかを刻きざみました。悪魔あくまは、また木きから降おりられなくなってしまいます。

ジャックが出だした約束やくそくは、二ふたつでした。十じゅう年間ねんかん、手てを出ださないこと。そして、ジャックが死しんでも、その魂たましいを地獄じごくへ連つれていかないこと。悪魔あくまはしぶしぶ約束やくそくして、木きから降おろしてもらいました。

悪魔あくまよりもずる賢かしこいジャック。けれど、このときの約束やくそくが、あとで大変たいへんなことになるのです。


なぜジャックは、どこへも行いけなくなったのか

それからしばらくして、ジャックは命いのちを落おとしました。

ジャックは天国てんごくへ向むかいます。けれど、生いきている間あいだに悪わるいことばかりしていたので、天国てんごくには入いれてもらえませんでした。

それなら地獄じごくへ、と向むかうと、地獄じごくの入口いりぐちにはあの悪魔あくまがいました。悪魔あくまは言いいます。「おまえの魂たましいは地獄じごくへ連つれていかない。そう約束やくそくしたはずだ」

天国てんごくにも、地獄じごくにも行いけない。ジャックには、もう行いく場所ばしょがなくなってしまったのです。

自分じぶんを守まもるために悪魔あくまとかわした約束やくそくが、最後さいごには、自分じぶんの行いき場ばをなくしてしまいました。悪魔あくまをだましたはずのジャックは、いったい何なにに負まけたのでしょうか。

あたりは真まっ暗くらです。ジャックは悪魔あくまに「せめて、暗くらい道みちを歩あるくための明あかりを一ひとつくれないか」と頼たのみました。悪魔あくまは、地獄じごくの炎ほのおから燃もえる炭すみを一ひとつ、ジャックに渡わたします。ジャックはその炭すみを、くり抜ぬいたカブに入いれて、ランタンを作つくりました。

こうしてジャックは、小ちいさなランタンを手てに、真まっ暗くらな世界せかいを歩あるき始はじめます。そして今いまも、どこへも行いけないまま、さまよい続つづけていると伝つたえられています。

ランタンを持もつジャック。人々ひとびとは、彼かれを「ジャック・オー・ランタン」と呼よぶようになりました。


カブがカボチャになった理由りゆう

ここで、ひとつ気きになることがあります。ジャックが持もっていたのは、カボチャではなく、カブでした。

実じつは、昔むかしのアイルランドでは、カブをくり抜ぬいてランタンを作つくっていました。カブに怖こわい顔かおを彫ほって、悪わるいものを追おい払はらおうとしていたのです。

やがて、その風習ふうしゅうがアメリカに伝つたわりました。アメリカでは、大おおきくて彫ほりやすいカボチャが使つかわれるようになります。こうして、今いまのカボチャのランタンが生うまれました。

あの怖こわい顔かおは、人ひとをこわがらせるためではなく、悪わるいものを近ちかづけないための顔かおだったのですね。


小ちいさな明あかりが照てらすもの

ジャックの物語ものがたりは、ずる賢かしこさで悪魔あくまに勝かった話はなしのようにも見みえます。けれど最後さいごに残のこったのは、真まっ暗くらな道みちと、手ての中なかの小ちいさな明あかりだけでした。

それでもジャックは、その明あかりを手てに、歩あるき続つづけています。

ハロウィンの夜よる、窓辺まどべに並ならぶカボチャのランタン。その一ひとつひとつに、行いき場ばをなくした男おとこの物語ものがたりと、暗くらい夜よるから身みを守まもろうとした人々ひとびとの願ねがいが重かさなっていると思おもうと、少すこし違ちがって見みえてくるかもしれません。

今年ことしのハロウィン、あなたはカボチャのランタンを見みて、何なにを思おもい出だすでしょうか。

考かんがえてみたい問とい

問とい 考かんがえられること
ジャックは、なぜ悪魔あくまをだまそうとしたのだろう 自分じぶんを守まもるための知恵ちえと、ずる賢かしこさの違ちがい
自分じぶんを守まもるためにした約束やくそくが、なぜ最後さいごにジャックを困こまらせたのだろう 目めの前まえの得とくと、あとから返かえってくること
ジャックは、暗くらい道みちでなぜ「明あかり」を頼たのんだのだろう 行いき場ばをなくしたときに、人ひとが求もとめるもの
ランタンの怖こわい顔かおには、どんな願ねがいが込こめられているだろう 暗くらい夜よるや悪わるいものから、家いえや家族かぞくを守まもりたい気持きもち

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