読み深め

『注文の多い料理店』なぜ山猫なのか──人間のようで、けものでもある存在

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注文ちゅうもんおお料理りょうりてん』にてくるのは、くまでもおおかみでもなく、山猫やまねこです。

山猫やまねこは、人間にんげんおそいかかってつかまえるのではありません。西洋せいよう料理りょうりてんつくり、とびら言葉ことばき、にん紳士しんしすこしずつおくすすませます。そこに、山猫やまねこならではの不思議ふしぎなこわさがあります。

山猫やまねこのきは、まず料理りょうりてんとしてあらわれる

山猫やまねこのきは、やまなかにある立派りっぱ西洋せいよう料理りょうりてんです。看板かんばんがあり、とびらがあり、みせ作法さほうのような注文ちゅうもんかれています。

にん紳士しんしは、だからこそ安心あんしんしてみせはいります。けもののはいったとはおもいません。

山猫やまねこのきのこわさは、最初さいしょからおそろしい姿すがたせないところにあります。人間にんげん安心あんしんしそうなかたちりて、ちかづいてくるのです。

ちからではなく、言葉ことばうごかす

とびらには「かみととのえてください」「鉄砲てっぽういてください」などとかれています。

山猫やまねこは、ちからづくでにんつかまえません。にん自分じぶんから言葉ことばしたがうように、丁寧ていねい注文ちゅうもんかさねていきます。

人間にんげん言葉ことば使つかい、人間にんげんみせのようなかたち使つかって、人間にんげん料理りょうりしようとするところに、山猫やまねこ気味悪きみわるさがあります。

鍵穴かぎあなからのぞくあお目玉めだま

物語ものがたりわりにちかづくと、鍵穴かぎあなからあお目玉めだまがのぞきます。こえも「にゃあお」「ごろごろ」と、ねこらしいおとになります。

それまでみせ主人しゅじんのようにふるまっていた存在そんざいが、きゅうやまのけものへもどるようにえます。

人間にんげんのようだったものが、やはり人間にんげんではない。このずれが、山猫やまねこのきをただの料理りょうりてんではない場所ばしょにしています。

人間にんげんのまねをする、やまのけもの

山猫やまねこは、みせつくり、看板かんばんし、文字もじき、料理りょうり準備じゅんびをしています。まるで人間にんげんのまねをしているようです。

けれど、山猫やまねこつく料理りょうり人間にんげんです。やまのけものが、人間にんげんのやりかた使つかって人間にんげんべようとしています。

山猫やまねこ人間にんげんちかいようで、けっして人間にんげんではありません。その境目さかいめにいるような姿すがたが、この物語ものがたり不思議ふしぎ世界せかいをつくっています。

にん紳士しんしているところ

にん紳士しんしは、動物どうぶつってたのしもうとしていました。山猫やまねこは、人間にんげん料理りょうりしてべようとしています。

どちらもべるがわち、相手あいていのち自分じぶんたのしみや食事しょくじのためにあつかっています。

山猫やまねこがこわいのは、けものだからだけではないのかもしれません。にん紳士しんし、そして人間にんげんなかにもあるこわさをうつしているようにえるからです。

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