『銀河鉄道の夜』カムパネルラは、なぜ列車を降りずに消えたのか
▶ YouTubeで見るカムパネルラの最後。銀河鉄道の夜のナゾを解き明かす‼銀河鉄道の乗客たちは、駅に着くと「さよなら」を言って列車を降ります。ところが、カムパネルラだけは違います。ジョバンニが振り返ったとき、走る列車の中から突然いなくなっていました。
なぜ、カムパネルラの別れだけがこのように描かれたのでしょうか。
ザネリを助けた、カムパネルラ

旅の終わりに、ジョバンニは町で起きたことを知ります。ザネリが川に落ち、カムパネルラは助けるために飛び込みました。
ザネリは助かりました。しかし、カムパネルラは戻ってきませんでした。
この出来事は、銀河鉄道の旅のあとに明かされます。だからこそ、列車の中でのカムパネルラの言葉を読み返すと、別の意味が見えてきます。
「ザネリはもう帰ったよ」という言葉

旅の初め、カムパネルラは「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎えにきたんだ」と話します。
ザネリが無事に帰れたことを、カムパネルラは知っているように見えます。一方で、カムパネルラ自身は青ざめ、苦しそうにしています。
ザネリは帰れた。でも、自分はもう帰れない。そのように感じていたのかもしれません。ただし、本文にはカムパネルラの心がはっきり書かれていないため、言葉や様子から考えることが大切です。
お母さんは、ゆるしてくれるだろうか

カムパネルラは、突然「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか」と尋ねます。
人を助けたのに、なぜ「ゆるして」と言うのでしょう。自分が帰れなくなったことで、お母さんを悲しませてしまうことを気にしていた、と読むこともできます。
さらにカムパネルラは、お母さんが本当に幸せになるなら、どんなことでもすると話します。カムパネルラの言葉には、ザネリを助けたことと、お母さんへの思いが重なっているように見えます。
ジョバンニには見えなかった野原

カムパネルラは、遠くの野原を見て「あすこがほんとうの天上なんだ。あすこにいるのぼくのお母さんだよ」と叫びます。
けれど、その姿はジョバンニには見えませんでした。本文には、カムパネルラのお母さんが亡くなっていたとも、本当に野原にいたとも書かれていません。
それでもカムパネルラには、お母さんが自分を受け止めてくれる場所が見えたのかもしれません。ここで、カムパネルラの旅は終わったと考えることができます。
別れを言えないまま、進む道が分かれる

ジョバンニが「一緒に行こう」と言って振り返ると、カムパネルラは消えていました。列車は止まっておらず、「さよなら」もありませんでした。
ジョバンニは現実でも、カムパネルラが川へ飛び込んだところを見ていません。何の準備もないまま、大切な友だちを失うことになります。
駅で見送る別れではなく、突然消える別れとして描かれたのは、ジョバンニが受け取った別れのかたちそのものだったのかもしれません。
考えてみたい問い
| 問い | 考える手がかり |
|---|---|
| カムパネルラは、なぜ「ゆるしてくれるだろうか」と言ったのだろう? | ザネリを助けたことと、お母さんへの思いを結び付ける |
| カムパネルラには見えて、ジョバンニには見えなかったものは何だろう? | 野原の場面にある二人の見え方の違いを読む |
| なぜカムパネルラは、駅でなく走る列車の中から消えたのだろう? | ジョバンニが知った現実の別れと比べる |
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